
こんにちは,弾丸うどんライダーkazumiです。
今回も展です。
京都国立博物館まで来て平成知新館だけでは,もったいないですね。
元々あった本館は明治考古館と名前を変えました。
実はこちらの本館で開かれている特別展が大人気。
入館までに1時間以上。
入館してから,それを見るまでにさらに1時間。

並んでいる皆さんのお目当てはというと,これです。
国宝 鳥獣人物戯画。

特別展覧会 修理完成記念 国宝 鳥獣人物戯画と高山寺に行ってきました。
もっとも有名な国宝の1つにして,国内最古の漫画といわれる
国宝 鳥獣人物戯画は全4巻。
4年間の修復完成を記念したこの展覧会では,
もっとも有名な甲巻から,あまり知られていない丁巻までの全4巻を一堂に見ることができるんです。

今回の見どころは何といっても鳥獣人物戯画ですが,
図録がいいんです。
この図録には,付録として4巻すべてが見られる豆本がついてきます。
この豆本が貴重なんです。


というのは,図録には鳥獣人物戯画のすべてが収録されているわけではないんです。
抜粋なんです。
ですから,全館すべての戯画を見ることができるのは,
この豆本と展覧会を置いて他にないのです。
そして鳥獣人物戯画はすべてがオリジナルのままそろっているのではありません。
本来は4巻の巻物だったのですが,そのうち一部は裁断され散逸しています。
屏風に使われたり,掛け軸に使われたのかもしれません。
裁断されたうちの2点が現在に残っています。

こちらが東京国立博物館に収蔵されている鳥獣人物戯画断簡。
蛙やウサギなどが登場するもっとも有名な甲巻の一部とみられる断簡です。
そして切り取られた残りをつなげた時の順番は元々のとは異なるらしいんです。
ストーリーの順場が合わない。
共通の損傷を持つ部分が連続していない。
使われた紙の繊維の方向が合わない。
などを考えると,
今存在する鳥獣人物戯画はオリジナルの順番ではないと考えられています。
じゃあ,元々はどういう姿だったんでしょうか。
その問のヒントになるのがこちら。
鳥獣人物戯画模本 探幽縮図

狩野探幽が描いた鳥獣人物戯画模本です。
この模本には現状の甲巻にはない図も多く残されており,
順番もずいぶんと異なります。

例えば猿が蛙の首に紐をかけて引き会うところや猿の棒高跳び,
兎の猿の囲碁のシーンは,
今伝わる鳥獣人物戯画には存在しません。
おそらく探幽が模写したのは裁断される前だったのでしょう。
現状にない図はいまだ行方知れず。
もうすでに無くなっているかもしれません。
そういう意味でも,今は見ることができない製作当時の姿を表しているといえるでしょうね。
会期は11月3日までが前半。
後半は11月5日から11月24日まで。
そうなんですよ。
4巻全巻を見るには,前半後半の両方見なければならないんです。

もう少しで,京都の紅葉も見ごろを迎えます。
紅葉の頃には後半でしょうか。
一番有名なこのシーンは後半の展示です。
勝った蛙の口から出ているのは声でしょうか,気でしょうか。
私には,ヨッシャーと叫んでるように見えます。


さてさて,この展覧会はこの秋の目玉中の目玉。
週末は2時間待ちくらいの覚悟でお越しください。
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2014/10/23(木) 17:55:00|
- アート/美術展/博物展
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こんにちは,kazumiです。
もうすっかり秋です。
芸術の秋です。
ついに京都国立博物館の新館が完成を迎えました。
新館は平成知新館と名付けられました。
どんな建物ができるかと,ずっと楽しみにしていたんですが,
驚くほどシャープでスクエアなデザインでした。

薄いひさし。
華奢な柱。
細い手すり。
曇り空に溶け込むような薄い色彩。
ガラス面を多用したファザードは周囲のシルエットを映します。
手前には池が作られ,背の低い噴水が湧き出しています。
池の上にふわりと浮かぶような,
体積に反して重厚さを感じさせない外観です。

これって,東京国立博物館の法隆寺宝物館に似てますよね。
こちらも池の上に建てられた,前面にガラスが張られた四角い建物。
実はどちらも同じ世界的建築家の谷口吉生さんの設計です。
さて,その新館(平成知新館)の落成記念の展覧会が開かれています。
平成知新館オープン記念展 京(みやこ)へのいざない
に行ってきました。


平安遷都から明元年までの約1000年間,長らく日本の首都であった京都の地に,
時代々々で芽生えた数々の京分化の粋を一堂に集めた,空前の規模の展覧会です。
すでに第1期の展示期間は終了しており,今は第2期の展示ですが,
それだけでも24点もの国宝が展示されています。



では中に入ってみましょう。
外観では障子のように見えたガラス面からは明るく,しかも柔らかい光が射しこんでいます。
外観同様に階段,柱,床面のすべてが直線的。
そして縦横の面はともに薄く,柱は細く。
まったく重厚さを感じさせません。
むしろそちらの方は,展示物の方に任せたかのようです。
そして,全体的暗い空間に,宝物を際立たせるシャープな照明。

これらがわずか,わずか520円で見ることができるんです。
そうなんです。
特別展のように見えて,この催しは常設展の扱いなんです。


たくさんの宝物と,最新の展示技術の粋を集めた平成知新館を
520円で見ることができるんです。
国内でもっとも価値のある520円だと思うのですが,いかがでしょう。

会期は11月16日まで。
いまは第2期の展示替えで,桃山 秀吉とその周辺です。
テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2014/10/23(木) 06:55:00|
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