こんにちは。弾丸うどんライダーkazumiです。
女木島に行ってきました。
瀬戸内ガストロノミーに行ってきました。
食をテーマにした作品をつくるEAT & ART TAROさんの食べるアート。レアンドロ・エルリッヒの『不在の存在』に併設されたレストランイアラ女木島がその会場です。
2016年 本島での様子 ネコも島スープが気になるようです
EAT & ART TAROさんといえば,2016年の瀬戸芸で
沙弥島では万葉のころを思う千年スープ(millennium soup)
伊吹島では副産物だけで作った副産物スープ(by-product soup)
そして本島は岡山と香川の文化が混ざり合った結びのスープ(connection soup)と,
春・夏・秋の3つの期間で3つの島スープを展開。
2016年 沙弥島の千年スープ
すべての会場で連日の長蛇の列。島に着いたら『まず島スープに並べ!』が全作品性を目指すコンプリーターの合言葉でありました。
2016年 伊吹島の行列 2便目に来た人は明暗が分かれたようです。
こうして,瀬戸芸ファンの心も胃袋もガッチリつかんだEAT & ART TAROさんの新たな作品が瀬戸内ガストロノミー。
12畳くらいの大きな和室に通されると,イスとテーブルがセットされてあって,正面には大きなテーブル。そしてその傍らには大きなモニターがつりさげられています。キッチンはその奥にあるようです。
席に着くとテーブルにはすでに何物かが置いてあります。それは紙に覆われて紙の帯で留められています。紙の帯の一端は1個の小石が置いてあって,まるで封印されているみたいです。
一人一人にお茶(高瀬茶だったかな?)が出されたところで,TAROさんが出てきました。
TAROさんはこの瀬戸内ガストロノミーの趣旨・内容についての説明をはじめます。天井から吊られたモニターには,
『お越しいただきありがとうございます。
瀬戸内ガストロノミーは,ここで料理を仕上げていくので
それを見ていただきながら食べていただきます。』
30分間おつきあいください。』の文字。
一品目は『グリーンサラダのマヨネーズソース』
スタッフが目の前にあった小石を取り除いてくれます。覆われていた紙を広げるとそこにはアスパラ,きゅうり,セロリ,スナップエンドウ。
TAROさんの説明が始まります。
野菜は県内産であることはもちろんのこと,マヨネーズも自家製もので,玉子は県内の養鶏場から,そしてお酢は仏生山にある醸造所でつくられた吉の酢が使われています。
『グリーンサラダのマヨネーズソース』
スタッフさんが一人一人のテーブルに来てマヨネーズソースをドロップしてくれます。
私,あんまり緑の野菜が好きではないのですが,このお話を聞いたらセロリだって食べることができました。マヨネーズは市販のものよりも酸味がすくなく優しい味。野菜の茹で具合もちょうどいい感じ。
この一品で,瀬戸内ガストロノミーの全貌が明らかになってきました。
瀬戸内ガストロノミーは体験参加型の30分間の料理ショウ。
1 地元の食材を優先して使う
2 その理由や由来をTAROさんがお話してくれる
3 最後の仕上げを目の前で行う
4 食べる
ランチを食べながら,瀬戸内のこと,島のことを知ることができるという,TAROさん曰く,授業型のランチです。
二品目は『風がつくったローストポーク』
女木島の風を利用してセミドライにした豚肉とセミドライのトマトが使われています。
女木島ではニンニクの栽培が盛んなんだそうです。TAROさんから初めて聞きました。その島のニンニクを使って風味付けを行っています。そういえばイアラのそばの民家でも,ニンニクをザルに入れて干している光景を見ました。
最後にTAROさん自身の手でレモンピールをおろして仕上げます。
食べている間もTAROさんの話は続きます。
女木島は高松からフェリーで20分のところにあります。お互いの対岸からよく見える距離あるのですが,冬になると女木島には強い風が吹き付けるのだそうです。この風をオトシというそうです。そしてその風や巻き上げられた海のしぶきから家を守るために積み上げられた石垣をオーテというそうです。
『風がつくったローストポーク』
モニターには豚肉を干している様子や,オトシが吹き荒れる島の様子が流されています。食材の地産地消だけではなくって,地域の文化,風習,生活までがこの料理の中に込められているようです。
次にTAROさんが持ってきたのは何でしょう?
ドーム型のもので蓋がしてあって中は乳白色に濁っています。

TAROさんが蓋を取ると中から煙が出てきました。
『ほ~』とか『おぉっ』とか。客席からは感嘆の声。
煙の名から出てきたのは鰆。
魚偏に春と書いてサワラ。その名の通り,春が旬の魚であり,この季節に香川県をはじめとする瀬戸内を代表する魚です。
そして香川県の郷土料理の一つが鰆の押し寿司。何とその鰆を,女木島の桜でスモークしていたんです。
女木島は桜の名所ですって。知りませんでした。そして,酢飯に使われているお酢は先ほどの吉の酢。仏生山の酢です。
『島の桜を使った鰆のちらし寿司』
男木島で採れたワカメが敷かれていて,磯の香りが豊かです。桜の燻製の香りはほとんどしませんね。気持ちだけですね。寿司ですからその方がいいんでしょうね。
『イアラのためのクッキー』
最後は足跡の形をしたクッキーが出てきました。
どうして足跡の形?
女木島って足袋の生産が盛んでしたっけ。それは東讃か。
足跡の形のヒントはこの場所にあります。レストランイアラ女木島は,もともとはレアンドロ・エルリッヒの作品に併設されていたものです。そして女木島でエルリッヒといえば『不在の存在』ですよね。
この足跡は,『不在の存在』がモチーフだったのです。
どうせだったらこのクッキー,2枚くれたらモニターのように『不在の存在』ごっこができたのに。
さてこの楽しい瀬戸内ガストロノミーは1日5回,各20人限定ですから1日で100人。
ランチをいただきながら,香川のこと,島のこと,その地域の人々のこと。たくさんのことを知ることができます。そしてその楽しい仕掛けをつくってくださったのがTAROさん。けっして饒舌ではありませんが,そのやさしい語り口には彼の人柄が表れているようです。
ぜひ,予約した方がいいでしょうね。
こちら,予約の電話番号です。
070-3791-8428
夏期間のコース内容は未定らしいですが,春とは異なる様子。
ウワサによるとTAROさん,鰆のカラスミを仕込んでいるそうです。もうその時点で楽しみです。
これは食べねば。『夏も食べたい 秋も食べたい』ですね。
特に瀬戸芸コンプリートを目指すのでなくっても,美味しいもの好きには気になる作品ですね。
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テーマ:こんな店に行ってきました - ジャンル:グルメ
- 2019/07/01(月) 08:00:08|
- アート/美術展/博物展
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