こんにちは,弾丸うどんライダーkazumiです。
今回も讃岐うどんの話はありません。
うどんの話以外に興味のない方はどうぞここで回れ右してください。
私がなぜMIHO MUSEUMまで行ったかというと,
『バーネット・ニューマンの十字架の道行き』展。
これが目的です。
バーネット・ニューマンは20世紀を代表する抽象画家。
彼が描いたのは,キリストの受難。
キリストが死刑判決を受けてから,磔刑にされ埋葬されるまでの過程を
14のシーンで描いています。
このこと自体はバーネット・ニューマンのオリジナルではなく,
教会に行けば絵画,レリーフ,彫刻などでキリストの受難の様子が描かれているものを
見ることができます。
14のシーンとは,
1 判決を受けるイエス
2 十字架を負う
3 最初のつまずき
4 聖母に合う
5 キレネ人シモンに助けられる
6 ヴェロニカ聖顔を拭う
7 再びつまずく
8 エルサレムの女たちを慰む
9 三たびつまずく
10 衣をはがされる
11 十字架へ釘づけされる
12 十字架上に息耐ゆ
13 十字架より降ろされる
14 墓に葬られる
信者たちは,例えば教会の柱に架かる14のシーンに祈りをささげながら,
一歩一歩あゆみを進めていく。
これが十字架の道行き。
ですから,バーネット・ニューマンも,
一枚目とか,第一のシーンという言葉は使っていません。
作品には第一留,第二留と表記されています。
留とは原題のstationの訳。
その場その場で足を停めて祈りをささげるのでこう呼ばれています。
バーネット・ニューマンはこの14枚の完成に9年を要しています。
本展ではこの14枚に加えて,
キリストの復活にあたる15枚目を描いた『存在せよⅡ』
を加えた15枚が一堂に展示されています。
これが,バーネット・ニューマンの十字架の道行き。
第1留ですが,いかがです。
キリストどころか,十字架すら出てきません。
カンバスに引かれた線や一部を塗った面だけで構成されています。
色も黒・白・灰色・赤,そしてカンバスの地の色だけです。
これは困りました。
いろいろと理解するのに難しいものを見てきましたが,
これをキリストの受難といわれてもどうしたらいいのでしょう。
まるでつるつるの大理石の壁をよじ登るのと同様に困難です。
手がかりも足場も何もありません。
展示室では第1留から第14留が扇型に並べられていて,
要の位置に立って全体を見渡すことができます。
そして,鑑賞者の背後。
そのかなめの位置の第1留から第14留までの作品と向き合うように,
『存在せよⅡ』が展示されています。
鑑賞者は第1留から第14留まで見た後,
振り返って『存在せよⅡ』を見ることになります。
MIHO MUSEUMのお客さんは,
分かったような,わかっていないような複雑な顔つき。
こちらは図録。
表紙は第1留の一部を描いたシルクスクリーンになっています。
このような抽象絵画にありがちなのは,
絵の中にテーマを見出そうとすること。
どこかにキリストはいないか,何か十字架に見えるものはないか。
どうやらこの絵はそのような見方では,手に負えないようです。
スポンサーサイト
テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2015/06/16(火) 17:55:00|
- アート/美術展/博物展
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0