
こんにちは,弾丸うどんライダーkazumiです。
奈良で『時空を超えたアートの祭典 古都祝奈良』をやっているというので行ってきました。
古都祝奈良と書いて“ことほぐなら”と読むそうです。
東大寺や春日大社をはじめとする八社寺と,ならまちに点在する7か所を巡る,
回遊型のアートイベントです。
あれっ?
これって,瀬戸芸と同じじゃん,と思った人は大正解。
どうやら,瀬戸芸の総合プロデューサー北川フラムがアドバイザーを務めているようです。
それでは,八社寺のアートから見ていきましょう。
東大寺 “船をつくる”プロジェクト/蔡國強
かつて東シナ海を航行した中国伝統の木製の帆船を,
中国の船大工10人が来日して製作されたもの。東大寺の鏡池で行われた公開製作で,
製作過程そのものが作品といえる。
船は日本と東アジア各国との文化の交流のシンボルでもあり,
東アジア各国が1つの船に乗って,ともに進む意味も込められている。
春日大社 まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり/
紫舟×チーム・ラボ


壁に映し出された象形文字にタッチすると,文字はその意味に姿を変え動き出します。
象をタッチするとゾウが現れ,川をタッチすると水が噴き出します。
他にも,山,日,月,羊,鳥,雨。
子供も大人も夢中です。
興福寺 開花/サハンド・ヘサミアン
特別開扉された三重塔のすぐそば。
南円堂の下に現れた大きなモニュメントは蓮の花。
インド原産のハスは仏教とともに,シルクロードを通って日本にやってきました。
蓮華座や持物,光背の文様など仏教美術には欠かせない植物です。
薬師寺 光のない影/シルパ・グプタ

薄い鋼板でつくったシルエットだけの人体彫刻。
輪郭はあっても中身のない見えない彫刻です。
中に入って写真を撮ってもらうことを作者は希望しているそうです。
唐招提寺 ユニコーンの逃避行/ダイアナ・アルハディド
西大寺 池からプールから池へ/エイシャ・エルクメン

東大寺は有名ですが,西大寺は近鉄電車の駅の名前だと思っている人は多いですよね。
シルクロードの出発点であるイスタンブール出身の作者は,
東西を結ぶ航路やシルクロードを文化のパイプラインと考えたのでしょうか。
西のプールと東の池をパイプラインでつなぐことで,かつての文化の交流を描いています。
元興寺 息をつくために-国旗/演繹的なもの/キムスージャ
大安寺 足場の塔/川俣正
かつて七重塔があったとされる敷地の横に,
当時立ってたであろう同じスケールの足場を組んで,塔の存在感を再現。
礎石だけが残った塔跡と中身のない足場だけの塔を対比させることで,
かつてあった大伽藍を想像させます。
ならまちアートプロジェクトを見てみましょう。
せまいならまちの路地をアートを求めて巡っていると,
思わぬものを見つけたりします。
北風呂町の倉庫 雫-story of the droplets/宮永愛子
元は染物屋の倉庫。
作者は別の作品の展示を考えていたそうですが,
靴の裏が赤く染まったことから,
長い間にこぼれた染料が,この地面に染みついていることを見つけます。
天井の布はその地面の魚拓ならぬ地拓。
大正時代から染料に染まっていた地面と,
平成の今,染料を写し取った布の間には大きな時間の流れが感じ取られます。
その2つの間をつなぐのがこの大きなガラス瓶。
ガラス瓶はこの倉庫にずっとあったもの。
未開封のガラス瓶の中には,
昭和の初期に営業を止め,建物ごと朽ちていく様を時間の流れが入っているように感じます。
なんて,一切説明のないのがこの作品のすごいところ。
バックグランドにあるこのようなお話は,常駐しているガイドさんに教わりました。
東城戸町会所(大国主命神社)地風/黒田大祐
扇風機を使って,地勢の風を吹かせます。
鎮宅霊符神社 ボタン/雨/西尾美也
かつて多くの陰陽師が住んでいた陰陽町の神社。
地域住民の古着から外したボタンに見立てています。
奈良オリエント館 かやり火の蔵/田中望
蚊帳とさらし布をつかって,何層にも重なった表現を得ています。
奈良町にぎわいの家 FLOW/岡田一郎 FLOW/林和音


岡田一郎の春日山から流れるせせらぎや井戸の映像と,
林和音の棕櫚を使った立体。
町屋の空間にかつてあった水と空気の流れを再生させる作品。
公納堂町の路地奥 人間の家/西尾美也
台風で一度はcloseになった作品。
地域住民の古着をつなぎ合わせて作ったパッチワークの家。
今西家書院 言ノ葉は,光と影を抱く/紫舟



もとは興福寺大乗院の坊官を務めた福智院氏の居宅。
今は清酒春鹿の醸造元の今西家が譲り受けています。
書家の紫舟のガラスでできた書の世界を楽しむことができます。
全部回るとこんな風にスタンプ帳がいっぱいになると,
トートバッグと缶バッジがもらえます。
結構いいものだったのでちょっと驚き。
ならまちアートプロジェクトは狭い地域に集まっているので,
1日もあれば十分回ることができますが,
八社寺の方はなかなか大変ですね。
車があればいいのですが,ここでもやっぱりバイクが最強です。
このイベントは10月23日まで。
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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2016/10/07(金) 19:20:21|
- アート/美術展/博物展
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